愚痴日記

すこしだけ真面目

就活で気付くラポール形成の難しさについて

就活というのは人対人の関係のなかで合否が決まるという点で、いままでの入試とは大きく異なっている。つまりもっとも大切なことは、勉強よりも面接官なり先輩社員なりとのラポール形成である。たしかに業界について知っていることは重要かもしれないが、新卒の場合はポテンシャル採用とも言われるように、その人の潜在的な力とそれが顕在化している部分(≒コミュニケーション能力)が見られていると思われる。

言い方が少し難解になってしまったかも知れないが、要は、必要なものは多少の業界知識と社員に気に入ってもらえるかである、ということだ。

 

自身のラポール形成能力は周囲より劣っているのではないかと思ってしまうことがよくある。

とある会社説明会で、先輩社員(女)と自分のほか数名の座談会が行われた。その座談会は3ターム目であり、その前のタームでだいたい会社についてつかめてきたので質問事項なども考えていた。自分の中ではかなり自信のある質問だったし、ほんとに知りたいことで、なおかつ聞かれたい質問なのではないかと考えていた。

説明が終わりQAタイムになり、温めていた質問をぶつけ、それなりの回答を返してもらえた。当然といえば当然だが、このようなタイミングでの質問というのは、記者会見のような場とは違う。知りたいことを聞くのが目的だが、就活生と社員という関係性のなかで行われることを踏まえなければならない。なるべくラポール形成ができるような質問の言いかたやリアクションを考えるべきだ(と思っている)。今回もまあまあ適切な質問をし、まあまあ適切なリアクションを取ったと思っていた。

最終タームなので質問後は解散となる。ちょうど最後の質問を終え、帰り支度をしていたとき、一人の女子学生が社員に向かってこういった。「わたし、名字おなじなんですよ。すごい偶然ですよね」。たしかに珍しい名字だったようで社員も驚いてリアクションをしていた。そしてそのまま何か明るく会話をはじめた。

どう考えてもその社員とのラポール形成は私よりも彼女のほうが成功しているではないか。なぜ仕事の話を興味持って聞いているほうよりも、「名字がおなじなんですよ」のほうが適切なのだろうか。自分にはそんな”気の利いた”話題なんて出せるわけがなかった。もし自分が社員で、学生に「名字がおなじなんですよ」と言われても、「はあそうですか」としか思わなかっただろうから。でもこっちのほうが"気が利いている"とこはなんとなくわかる。何回考えてもわからない、どうしたらラポール形成に適切な話題が出せるのか、反応ができるのか。

大学生になって"くだらない"話ができるようになったし、そのような行動をする意味を理解できるようになったと思っていたが、まだまだ一般人に擬態するのは難しいみたいだと感じる。だって彼女はおそらく、そんなことを微塵も考えずに「名字がおなじなんですよ」と話しかけたはずだからだ。これは訓練がたりないのか、それとも性格の問題なのかよくわからない。それでもなんとなく生きていくしかないんだろうな。